大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和35年(し)12号 決定

主文

本件各再抗告を棄却する。

理由

抗告人等の再抗告趣意は末尾添付の書面記載のとおりである。

論旨中、憲法三八条二項違反を主張する点は、原審で主張されず従ってその判断をうけていない事項に関するものであるのみならず、所論の少年等の司法警察員に対する自白が欺罔行為によるものであること、また家庭裁判所の審判における自白が脅迫によってなされたものであることは、本件少年保護事件記録および関係少年調査記録を精査してみるもこれを認めるに足りないから所論違憲の主張は前提を欠くものであり、その余の論旨は事実誤認、単なる法令違反の主張であって、いずれも少年法三五条所定の適法な再抗告理由に当らないもので本件再抗告は不適法として棄却を免かれない。(なお、抗告人藤田一策は少年〇〇〇〇同〇〇〇〇の親権者として本件抗告申立をしているが、記録に徴するに同人は右少年等の実母〇〇〇〇と内縁の夫であることが認められるにすぎず、少年法三五条に定める抗告権者に当らない。それ故同人の本件抗告はこの点においてすでに不適法たるを免かれない。)

よって、少年審判規則五三条一項、五四条、五〇条により裁判官全員一致で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 垂水克己 裁判官 高橋 潔 裁判官 石坂修一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例